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岩永善信コンサート

現代ギター誌2007年4月号『海外だより』

◆岩永善信シンガポール公演
現代ギター誌2007年4月号『海外だより』●岩永善信シンガポール公演
2006年9月、岩永善信のシンガポール公演に同行した。今回で3回目となる。これまでの岩永氏の公演の成功を受けてのことだ。
22日(金)成田を16時30分に発ち、20時10分にシンガポールに到着。思ったより近くに感じられる。物や人の交流も盛んだ。こうして日本人ギタリストが世界の檜舞台で活躍していることを誇りに思う!
翌23日(土)3日間コンサートとマスターコースが始まる。「獅子の国」シンガポールは高層ビルが林立し、近代国家である。幅広い道路、そして南洋特有のヤシの木が開放感をもって私達を歓迎している。
気温は高い、温かい国であるがそれだけに配慮されていて建物はどこもクーラーが強烈にきいている。むしろ肌寒いくらいだ。長袖を持ってきてよかった。岩永氏は2回経験済みなので慣れたものである。
12時30分に本日の公演会場である「アジア文明博物館」に到着。この博物館では、ちょうど9月〜11月までアジア各国の文化財展示をやっていて、その一環として今回の演奏会が開催された。会場の響きは抜群であった。歩く音がコツコツと響きわたる程で、一音一音が見事に聴衆に語りかける。
奏者の後方には大きな能面のポスターが貼ってあり、和の会場と洋の音楽が共鳴しあい、しかも人にやさしいクラシックギターの音色がシンガポールの人々に、心地よい安らぎと満足を与えたようであった。プログラムは次の通り。

スペイン組曲(サンス)から6曲、ソナタイ長調L.203とソナタニ長調L.418(D・スカルラッティ)、ペテネーラ、ロンデーニャ(デ.ラ.マーサ)、ファンタジーディヴィジョンズ(ドッジソン)から6曲、タイスの瞑想曲(マスネ)、さくら幻想曲(日本古謡)、祭りのこだま、物乞うひと、スペイン舞曲6番(グラナドス)。
日本古謡の「さくら幻想曲」では日本文化の伝統という意味で、海外では非常に高い評価と共に大変喜ばれている。また聴衆の期待以上の演奏をするのが岩永氏の音楽である。E.グラナドスのスペイン舞曲を聞いて、これぞスペインだ!とおもわせる迫力に、いつまでも鳴り止まない拍手が印象的であった。

同日で2回目のコンサートが16:30からエスプラネードというドリアンに似たユニークな巨大ドーム型建造物で行われた。この建物はシンガポールのランドマーク的な存在とのこと。 ここでも「タイスの瞑想曲」やアンコールの「アメージンググレイス」等に感動の拍手が続いた。 一日に2回の公演は奏者にとっても大変疲れることと思うが、ハードスケジュールを主催者の要望に応えてあっさりとやってのける岩永氏のパワーと熱演に拍手を送りたい。

翌24日(日)14時より日本人会オーディトリウム公演である。
ここでも3回のアンコールに応え、演奏会終了後も観客が席を立たない、帰りたくないのである。2003年にはシンガポール日本文化協会より文化交流に寄与したという主旨で感謝状をいただいている。岩永氏は楽屋を訪れたファンの方々と気さくに撮影にも応じていた。

9月25日(月)最終日はシンガポール国立大学(NUS)にてCenter for the Arts Guitar Ensembleのマスターコースである。この国立大学でギターを指導している、若い先生と生徒2名のソロを指導。それから四重奏を続いて指導。13時〜17時まで全力投球であった。岩永氏は英語でレッスンを行い、指導内容を理解して弾けた時の生徒の顔の表情、目の輝きには「音楽は世界の共通語」という言葉が実感される。1人1人に応じた氏の的確な指導には定評がある。1つ1つの音に夢のメロディーを与え、希望のリズムを奏で、そして聴く人には生きるハーモニーとなって響く。

すべての公演と行事を終え、飛行場に向けてネオン輝くシンガポールの街をタクシーで走る。23時35分の深夜便に乗り、シートに深く腰かけながら静かに目を閉じると、この3日間で出会った人々、感動でいつまでも立ち去らなかった人々、そして笑顔で送ってくれた人々の顔がシルエットのように浮かんだ!

( 田之頭 稔 )
2007年雑誌記事

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