 ●多弦ギターは一時期の流行を経て最近は少数派のように見えるが、岩永善信はそんな中、10弦ギターにこだわり続けるギタリストである。彼の10弦はイエペス流の倍音平均化を狙った調弦とは異なり、低音域を拡充すべく音階的に低くなっていて、当然ながら積極的に使用する。名古屋、仙台に続いて東京の浜離宮朝日ホールで開催されたリサイタルでは、プログラムもその広い音域を充分に生かすべく編曲作品が主になっていた。グリーグやバルトークはその好例であろう。岩永の演奏は安定した技術でそれぞれの作品の個性を引き出しており、満席の聴衆も熱く反応していた。反面、調弦の不安定と消音困難という多弦ギターゆえの難点は名手岩永にとっても低からぬ壁と感じた。
●多弦ギターは一時期の流行を経て最近は少数派のように見えるが、岩永善信はそんな中、10弦ギターにこだわり続けるギタリストである。彼の10弦はイエペス流の倍音平均化を狙った調弦とは異なり、低音域を拡充すべく音階的に低くなっていて、当然ながら積極的に使用する。名古屋、仙台に続いて東京の浜離宮朝日ホールで開催されたリサイタルでは、プログラムもその広い音域を充分に生かすべく編曲作品が主になっていた。グリーグやバルトークはその好例であろう。岩永の演奏は安定した技術でそれぞれの作品の個性を引き出しており、満席の聴衆も熱く反応していた。反面、調弦の不安定と消音困難という多弦ギターゆえの難点は名手岩永にとっても低からぬ壁と感じた。プログラム:リュート組曲3番BWV995(バッハ)、天使の死、セーヌ川、ブエノスアイレスの夏(ピアソラ)、ギターのためのペールギュント〜朝、アニトラの踊り、ソルベイグの歌(グリーグ)、シューベルト「鱒」の主題による変奏曲(フリースネク)、ルーマニア民俗舞曲(バルトーク)。
【2009年(平成21年)<現代ギター2月号>より抜粋】
 
 
