●名古屋市中区、宗次ホール主催で"独自の編曲とプログラミングで拓く新たなギターの世界"「岩永善信ギターリサイタル」が2010年11月13日(土)催された。
宗次ホールの雰囲気はモノトーンの落ち着いた空間に心地よさを感じる洒落なホール。主催コンサートは今回で4回目になり定着した趣も感じられた。
1曲目はアルビノーニの「アダージョ」から始まり、2曲目はポンセの「プレリュード・ガボットT-U組曲」、3曲目はJ.S.バッハの「無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番 BWV1001」よりアダージョ、フーガ、シシリアーノ、プレストの4曲。バッハの〈フーガ〉は10弦ギターの奏でる音色は岩永氏の音楽に生まれ変わり表現されていた。
4曲目は、パガニーニの〈ロマンス〉カプリス第24番で始まりレジナルド・スミス=ブリンドルの<黄金のポリフェモは、解説の中に「20世紀が到来を予感した不安と混沌への救いを訴えるかのような音楽」と記載されていた。幻想的で神秘的な音楽であった。
5曲目はイサーク・アルベニスの<コルドバ>はスペインの豊かな情景と古都の趣を表現した岩永氏ならではの業は凄い。<朱色の塔〉はアラベスク模様を思わせる絶え間のない3連符のパッセージ、華麗に輝きを保ち流れていく心地よい演奏であった。
アンコールは拍手の鳴りやまない中、グルックの〈精霊の踊り〉、ファリャの〈粉屋の踊り〉、サン=サーンスの<白鳥>10弦ギター岩永氏の円熟した演奏に盛大な拍手で終演した。
「穏やかな心地よいコンサートでした。」「深い円熟された演奏は、なかなか聞けません。是非来年も聞かせて下さい。」「奥行きのある素敵な演奏でした。」岩永氏の感情豊かな演奏と、穏やかな美しいメロディーはホールの雰囲気とマッチした心地よい空間に溶け込み10弦ギターの世界を堪能できた演奏会でした。
中部日本ギター協会 大野正子