岩永善信ギターコンサート〜本質を探る〜
昨年のいつ頃でしたか、アトレ企画の田之頭様より、わが「文学サロン 月の舟」でギターコンサートをやりたいのだけど、というお話を頂き、それは、楽しそう、とお受けしました。
そして、チラシを作成して、「月の舟」会員の皆様に配布した頃から、「岩永さんって、すごいんですよ」「あのギター、もう一度聴きたいんですよね」という声がいくつも聞こえてきました。以前、ザビエル教会で岩永さんのギターコンサートを聴かれた方が、「月の舟」にチケットを買いに来られて、「2000円は安すぎますよ」とまでおっしゃいました。
コンサートを始める前から、「すごい、すごい、すごい」の声、声、声。そして、田之頭様の動員力もあって、30坪の「月の舟」は50人のお客様で満杯。
「岩永は、演奏中は、一言もしゃべらないんだよね」と田之頭様がおっしゃるので、神経質な方かと思いきや、はじめて「月の舟」に顔を出されたとき、少年のような笑顔で「こんにちは」と優しく声をかけてくださいました。
コンサートで司会をするわたしも、何だか緊張感がほぐれました。
リハーサルで演奏される岩永さんの指を見て、「あれ、左手の方が長いのかしら?」と思う余裕もありました。
そして、コンサート開始。司会であることもすっかり忘れて、聴き入ってしまいました。
いやはや、いやはや、凄すぎる。美しすぎる。「月の舟」全体で、ギターの音色を聴いている感じでした。司会であるわたしは、いちいち立つのがめんどくさい。このまま曲の余韻に浸っていたい。そう思いながら、一曲ごとに気合いを入れて立ち上がり、司会しておりました。
コンサートの最後に、質問をしてください、とのことでしたので、わたしがさせていただきました。十弦ギターの特徴など伺った後、思い切って、「岩永さんの本質って、何ですか?」とお聞きしました。なぜなら、コンサートの前に頂いた、インタビュー集に岩永さんの言葉で、こう書かれていたからです。
「時間がかかってもあきらめずに、そして自分の思考の中に枠を作らず、本質に向かって進むことが大事だと思っています。」
この記事を読んで、わたしは思ったのです。じゃあ、「岩永さんの本質って、何だろう」と。
岩永さんは、こう答えられました。
「演奏がウケルことと、聴衆を喜ばせることは違う。ウケルことばかりを考えていたのでは、自分がだめになる。それよりも、自分の思う道を進んで、100人のうち99人がだめ、と言っても、ひとりが素晴らしいと認めてくれたらそれでいい、という演奏をしていく」
この答えに、わたしは痺れました。またまた司会をしていることを忘れて、感動の渦のなかにおりました。
コンサート終了後、この<本質>の質問が良かった、と岩永さんにもアトレ企画の鈴木さんにも言っていただきましたが、自分の本質を聴かれて、すぐに答えられる人は、そうはいません。岩永さんが、ご自分の芸術性を深めておいでになる賜でしょう。
わたしも、文学という芸術に携わる身、深く心に刻まれた岩永ギターの本質論。またおひとり「月の舟」の宝物を神様から授けられた気持ちでいっぱいです。
またコンサートを開催したいです。「月の舟」、あるいは、神々の降りた霧島で。
月の舟自由大学学長 三嶽公子
昨年のいつ頃でしたか、アトレ企画の田之頭様より、わが「文学サロン 月の舟」でギターコンサートをやりたいのだけど、というお話を頂き、それは、楽しそう、とお受けしました。
そして、チラシを作成して、「月の舟」会員の皆様に配布した頃から、「岩永さんって、すごいんですよ」「あのギター、もう一度聴きたいんですよね」という声がいくつも聞こえてきました。以前、ザビエル教会で岩永さんのギターコンサートを聴かれた方が、「月の舟」にチケットを買いに来られて、「2000円は安すぎますよ」とまでおっしゃいました。
コンサートを始める前から、「すごい、すごい、すごい」の声、声、声。そして、田之頭様の動員力もあって、30坪の「月の舟」は50人のお客様で満杯。
「岩永は、演奏中は、一言もしゃべらないんだよね」と田之頭様がおっしゃるので、神経質な方かと思いきや、はじめて「月の舟」に顔を出されたとき、少年のような笑顔で「こんにちは」と優しく声をかけてくださいました。
コンサートで司会をするわたしも、何だか緊張感がほぐれました。
リハーサルで演奏される岩永さんの指を見て、「あれ、左手の方が長いのかしら?」と思う余裕もありました。
そして、コンサート開始。司会であることもすっかり忘れて、聴き入ってしまいました。
いやはや、いやはや、凄すぎる。美しすぎる。「月の舟」全体で、ギターの音色を聴いている感じでした。司会であるわたしは、いちいち立つのがめんどくさい。このまま曲の余韻に浸っていたい。そう思いながら、一曲ごとに気合いを入れて立ち上がり、司会しておりました。
コンサートの最後に、質問をしてください、とのことでしたので、わたしがさせていただきました。十弦ギターの特徴など伺った後、思い切って、「岩永さんの本質って、何ですか?」とお聞きしました。なぜなら、コンサートの前に頂いた、インタビュー集に岩永さんの言葉で、こう書かれていたからです。
「時間がかかってもあきらめずに、そして自分の思考の中に枠を作らず、本質に向かって進むことが大事だと思っています。」
この記事を読んで、わたしは思ったのです。じゃあ、「岩永さんの本質って、何だろう」と。
岩永さんは、こう答えられました。
「演奏がウケルことと、聴衆を喜ばせることは違う。ウケルことばかりを考えていたのでは、自分がだめになる。それよりも、自分の思う道を進んで、100人のうち99人がだめ、と言っても、ひとりが素晴らしいと認めてくれたらそれでいい、という演奏をしていく」
この答えに、わたしは痺れました。またまた司会をしていることを忘れて、感動の渦のなかにおりました。
コンサート終了後、この<本質>の質問が良かった、と岩永さんにもアトレ企画の鈴木さんにも言っていただきましたが、自分の本質を聴かれて、すぐに答えられる人は、そうはいません。岩永さんが、ご自分の芸術性を深めておいでになる賜でしょう。
わたしも、文学という芸術に携わる身、深く心に刻まれた岩永ギターの本質論。またおひとり「月の舟」の宝物を神様から授けられた気持ちでいっぱいです。
またコンサートを開催したいです。「月の舟」、あるいは、神々の降りた霧島で。
月の舟自由大学学長 三嶽公子