〜テーネ・ザール開館5周年記念 岩永善信ギターリサイタルを終えて〜
底冷えのする奈良・橿原市で、初めての岩永氏のリサイタルを満席のお客様をお迎えし、無事開催致しました。
奈良の一都市の、小さな私のホールに日本を代表する世界的なギタリストをお呼び出来るなんて、なんと幸運な事でしょう!しかも、駆け出しのチェンバリストの私が共演させて頂けるなんて・・・身に余る光栄です!
昨年暮れに打ち合わせを兼ねて、岩永氏にホールを見て頂きましたら、「天井が高く響きもギターと相性が良く、とても演奏し易い!」とおっしゃって頂き、ホッとし、またとても嬉しかったです。
前日2月22日の夜7時からボッケリーニのリハーサル。
第一楽章は1回通しただけで、お互いに何の違和感の無く、「いいですね!」で終わり、
第2楽章と第3楽章はテンポとポイント数カ所だけ打ち合わせして1時間ほどで終わりました。
表現はかなり異質なのに、何か音楽の根底に、或いは人間的に共通するものを感じ、一緒に演奏することがごく自然に感じられたことを、とても嬉しく思いました。
岩永氏はとても気さくな方で、その後夕食をご一緒し、色々おしゃべりし、打ち解けられた事が、その後の演奏にも大変プラスになったと思います。リサイタル前夜だというのに申し訳なかったですが、今になってみると、これは、私の緊張を取り除く為の岩永氏の優しい心配りだったのだと気が付きました。ご配慮有り難く思います。
奈良ではギターのコンサートはお客様が入りにくいと聞いておりましたが、岩永氏もファンの方々にお声かけ頂き、アトレ企画様のご協力、共賛頂いた丸山利仁手工ギター工房の丸山様のお力添えもあり、満席に入って頂きました。本当にありがとうございました。
いよいよ開演です!
最初のリュートの曲は素朴で暖かい音で、語りかけるように始まり、懐かしさが込み上げてくるような演奏でした。ほとんどの方が初めて生で聴く岩永氏の10弦ギターの響きに興味津々で聴き入っておられました。
続いてのバッハのパルティータはフルートソナタを岩永氏が編曲されたもので、真摯にバッハに向き合っておられる姿に、お客様から「バッハの様式美を壊すことなく原曲よりも重厚に深みも増した演奏で、とても良かった。流石です!」とご意見を頂きました。
ボッケリーニのソナタは原曲のギターと弦楽四重奏をギターとチェンバロで分担した形になっていて、演奏していますと両方が対等に扱われているのが良く分かります。特に第3楽章では10弦ギターのダイナミックな響きで奏でられる情熱的なスペインの舞曲ファンダンゴのリズムに心がかき立てられるような盛り上がりを見せ、魅力的でした。一緒に演奏しているのにワクワク、うっとり、してしまいました。
友人のピアニストYさんが聴いてくれていて、「二人の音楽がどちらもゆがめることなく素直に出ていて、かつ自然に融合していて、とても良かった!!」と意見を寄せてくれました。
休憩後のシューベルト「鱒」の主題による変奏曲は誰でも耳にした事があるテーマで、自然に受け入れられ、しかし、どんどん変奏が複雑になり引き込まれて行く、素敵な演奏でした。
次の岩永氏の編曲によるメンデルスゾーンの無言歌は原曲はピアノ曲で、どんな風に演奏されるかと思いましたが、ピアノが両手でやる事を右手だけで表現され、改めてギターって凄い能力のある楽器なのだと、認識を新たにしました。ピアノでの演奏以上にそのたっぷりとした詩情が伝わって来たように思います。
最後の「セビリアの理髪師」序曲はオーケストラの曲ですから、さらに驚きました。10弦を操る岩永氏の華麗なテクニックに唖然としてしまいました。6弦の普通のギターより多い4弦はどのようになっているのかと思いましたら、曲によってベースを受け持ったり、音階に調弦したり、時にはメロディーを弾く事もあるそうで、それを自由自在に演奏なさる岩永氏の頭の中はどんな風に働いているのだろうと感心致しました。
アンコールは2曲演奏されましたが、その一つピアソラの「ブエノスアイレスの夏」はとてもお茶目で魅力たっぷり、違う一面も見せて頂いて、プログラムにもっとピアソラがあってもいいなあ〜!と思いました。
ここで、共賛頂いた丸山利仁手工ギター工房の丸山様(ギター製作者で演奏もなさいます。)がFacebookに掲載されました記事を、許可を得て引用させて頂きました。
<岩永さんのギターリサイタル>
岩永さんの演奏を聴くのは初めてでしたし、10弦ギターの音楽を生で聴くのも初めてでした。
印象は「新鮮!!」。岩永さんが奏でる10弦ギターの響きや響かせ方、いや音楽そのものが、自分が今まで見聞きして来た中にはないものでした。華麗とか流暢とかではなく、何か確固たる氏独特の美しさを感じました。第7弦から第10弦は主に共鳴用途かと勝手に想定していたら、さにあらず、ガンガン・ハデハデに出番があります。それも准主役級です。(ご自身で編曲された曲は特に)。これを聴いた直後だったら(直後に限定します)、おそらく普通の6弦ギターはかなり軽薄に感じられる事でしょう。
いくつか10弦をお持ちのようですが、きょうはトビアス・ブラウンだったと思います。
▼会場(テーネ・ザール)主宰の大杉恵子さんと。
大杉さんは、ボッケリーニの有名なギターと弦楽のアンサンブル曲をチェンバロで岩永さんと共演されました。これがまた素晴らしく、同行の家人も大感動・大興奮していました。
大変熱気を帯びて終演した後は、岩永氏のファンや生徒さん、編曲者の川潟誠氏、テーネ・ザール友の会の有志が集まって、和やかなお食事会を持つ事が出来、直接色々なお話を伺う事が出来、皆様とても喜んでおられました。
岩永氏の音楽は静寂から燃えたぎる情熱まで、その音色の変化と表現の幅は無限で、感情の揺れ動きが手に取るように感じられる、とても人間味溢れるものでした。ピアノに於いて、「1音で何を語るか?」をテーマにしている私にとっては、学ぶべき事が沢山あり、とても充実した実り多いコンサートになりました。またいつかご一緒させて頂ける機会があると、とても嬉しいです。
岩永善信様、どうもありがとうございました!!
ピアニスト・チェンバリスト 大杉恵子
底冷えのする奈良・橿原市で、初めての岩永氏のリサイタルを満席のお客様をお迎えし、無事開催致しました。
奈良の一都市の、小さな私のホールに日本を代表する世界的なギタリストをお呼び出来るなんて、なんと幸運な事でしょう!しかも、駆け出しのチェンバリストの私が共演させて頂けるなんて・・・身に余る光栄です!
昨年暮れに打ち合わせを兼ねて、岩永氏にホールを見て頂きましたら、「天井が高く響きもギターと相性が良く、とても演奏し易い!」とおっしゃって頂き、ホッとし、またとても嬉しかったです。
前日2月22日の夜7時からボッケリーニのリハーサル。
第一楽章は1回通しただけで、お互いに何の違和感の無く、「いいですね!」で終わり、
第2楽章と第3楽章はテンポとポイント数カ所だけ打ち合わせして1時間ほどで終わりました。
表現はかなり異質なのに、何か音楽の根底に、或いは人間的に共通するものを感じ、一緒に演奏することがごく自然に感じられたことを、とても嬉しく思いました。
岩永氏はとても気さくな方で、その後夕食をご一緒し、色々おしゃべりし、打ち解けられた事が、その後の演奏にも大変プラスになったと思います。リサイタル前夜だというのに申し訳なかったですが、今になってみると、これは、私の緊張を取り除く為の岩永氏の優しい心配りだったのだと気が付きました。ご配慮有り難く思います。
奈良ではギターのコンサートはお客様が入りにくいと聞いておりましたが、岩永氏もファンの方々にお声かけ頂き、アトレ企画様のご協力、共賛頂いた丸山利仁手工ギター工房の丸山様のお力添えもあり、満席に入って頂きました。本当にありがとうございました。
いよいよ開演です!
最初のリュートの曲は素朴で暖かい音で、語りかけるように始まり、懐かしさが込み上げてくるような演奏でした。ほとんどの方が初めて生で聴く岩永氏の10弦ギターの響きに興味津々で聴き入っておられました。
続いてのバッハのパルティータはフルートソナタを岩永氏が編曲されたもので、真摯にバッハに向き合っておられる姿に、お客様から「バッハの様式美を壊すことなく原曲よりも重厚に深みも増した演奏で、とても良かった。流石です!」とご意見を頂きました。
ボッケリーニのソナタは原曲のギターと弦楽四重奏をギターとチェンバロで分担した形になっていて、演奏していますと両方が対等に扱われているのが良く分かります。特に第3楽章では10弦ギターのダイナミックな響きで奏でられる情熱的なスペインの舞曲ファンダンゴのリズムに心がかき立てられるような盛り上がりを見せ、魅力的でした。一緒に演奏しているのにワクワク、うっとり、してしまいました。
友人のピアニストYさんが聴いてくれていて、「二人の音楽がどちらもゆがめることなく素直に出ていて、かつ自然に融合していて、とても良かった!!」と意見を寄せてくれました。
休憩後のシューベルト「鱒」の主題による変奏曲は誰でも耳にした事があるテーマで、自然に受け入れられ、しかし、どんどん変奏が複雑になり引き込まれて行く、素敵な演奏でした。
次の岩永氏の編曲によるメンデルスゾーンの無言歌は原曲はピアノ曲で、どんな風に演奏されるかと思いましたが、ピアノが両手でやる事を右手だけで表現され、改めてギターって凄い能力のある楽器なのだと、認識を新たにしました。ピアノでの演奏以上にそのたっぷりとした詩情が伝わって来たように思います。
最後の「セビリアの理髪師」序曲はオーケストラの曲ですから、さらに驚きました。10弦を操る岩永氏の華麗なテクニックに唖然としてしまいました。6弦の普通のギターより多い4弦はどのようになっているのかと思いましたら、曲によってベースを受け持ったり、音階に調弦したり、時にはメロディーを弾く事もあるそうで、それを自由自在に演奏なさる岩永氏の頭の中はどんな風に働いているのだろうと感心致しました。
アンコールは2曲演奏されましたが、その一つピアソラの「ブエノスアイレスの夏」はとてもお茶目で魅力たっぷり、違う一面も見せて頂いて、プログラムにもっとピアソラがあってもいいなあ〜!と思いました。
ここで、共賛頂いた丸山利仁手工ギター工房の丸山様(ギター製作者で演奏もなさいます。)がFacebookに掲載されました記事を、許可を得て引用させて頂きました。
<岩永さんのギターリサイタル>
岩永さんの演奏を聴くのは初めてでしたし、10弦ギターの音楽を生で聴くのも初めてでした。
印象は「新鮮!!」。岩永さんが奏でる10弦ギターの響きや響かせ方、いや音楽そのものが、自分が今まで見聞きして来た中にはないものでした。華麗とか流暢とかではなく、何か確固たる氏独特の美しさを感じました。第7弦から第10弦は主に共鳴用途かと勝手に想定していたら、さにあらず、ガンガン・ハデハデに出番があります。それも准主役級です。(ご自身で編曲された曲は特に)。これを聴いた直後だったら(直後に限定します)、おそらく普通の6弦ギターはかなり軽薄に感じられる事でしょう。
いくつか10弦をお持ちのようですが、きょうはトビアス・ブラウンだったと思います。
▼会場(テーネ・ザール)主宰の大杉恵子さんと。
大杉さんは、ボッケリーニの有名なギターと弦楽のアンサンブル曲をチェンバロで岩永さんと共演されました。これがまた素晴らしく、同行の家人も大感動・大興奮していました。
大変熱気を帯びて終演した後は、岩永氏のファンや生徒さん、編曲者の川潟誠氏、テーネ・ザール友の会の有志が集まって、和やかなお食事会を持つ事が出来、直接色々なお話を伺う事が出来、皆様とても喜んでおられました。
岩永氏の音楽は静寂から燃えたぎる情熱まで、その音色の変化と表現の幅は無限で、感情の揺れ動きが手に取るように感じられる、とても人間味溢れるものでした。ピアノに於いて、「1音で何を語るか?」をテーマにしている私にとっては、学ぶべき事が沢山あり、とても充実した実り多いコンサートになりました。またいつかご一緒させて頂ける機会があると、とても嬉しいです。
岩永善信様、どうもありがとうございました!!
ピアニスト・チェンバリスト 大杉恵子